厚生年金保険法
問7
次の文中のA~Eの部分を選択肢の中の最も適切な語句で埋め、完全な文章とせよ。
1 厚生年金保険法第 100 条の 9 の規定によると、同法に規定する厚生労働大臣の権限(同法第 100 条の 5 第 1 項及び第 2 項に規定する厚生労働大臣の権限を除く。)は、厚生労働省令(同法第 28 条の 4 に規定する厚生労働大臣の権限にあっては、政令)で定めるところにより、 A に委任することができ、 A に委任された権限は、厚生労働省令(同法第 28条の 4 に規定する厚生労働大臣の権限にあっては、政令)で定めるところにより、 B に委任することができるとされている。
2 甲は 20 歳の誕生日に就職し、厚生年金保険の被保険者の資格を取得したが、40 代半ばから物忘れによる仕事でのミスが続き、46 歳に達した日に退職をし、その翌日に厚生年金保険の被保険者の資格を喪失した。退職した後、物忘れが悪化し、退職の 3 か月後に、当該症状について初めて病院で診察を受けたところ、若年性認知症の診断を受けた。その後、当該認知症に起因する障害により、障害認定日に障害等級 2 級に該当する程度の障害の状態にあると認定された。これにより、甲は障害年金を受給することができたが、障害等級 2 級に該当する程度の障害の状態のまま再就職することなく、令和 5 年 4 月に 52 歳で死亡した。甲には、死亡の当時、生計を同一にする 50 歳の妻(乙)と 17 歳の未婚の子がおり、乙の前年収入は年額 500 万円、子の前年収入は 0 円であった。この事例において、甲が受給 し て い た 障 害 年 金 と 乙 が 受 給 で き る 遺 族 年 金 を す べ て 挙 げ れ ば、C となる。
3 令和Ⅹ年度の年金額改定に用いる物価変動率がプラス 0.2 %、名目手取り賃金変動率がマイナス 0.2 %、マクロ経済スライドによるスライド調整率がマイナス 0.3 %、前年度までのマクロ経済スライドの未調整分が 0 %だった場合、令和Ⅹ年度の既裁定者(令和Ⅹ年度が 68 歳到達年度以後である受給権者)の年金額は、前年度から D となる。なお、令和Ⅹ年度においても、現行の年金額の改定ルールが適用されているものとする。
4 厚生年金保険法第 67 条第 1 項の規定によれば、配偶者又は子に対する遺族厚生年金は、その配偶者又は子の所在が E 以上明らかでないときは、遺族厚生年金の受給権を有する子又は配偶者の申請によって、その所在が明らかでなくなったときにさかのぼって、その支給を停止する。
選択肢
① 0.1 % の引下げ ② 0.2 % の引下げ
③ 0.5 % の引下げ ④ 1 か月
⑤ 1 年 ⑥ 3 か月
⑦ 3 年 ⑧ 国税庁長官
⑨ 財務大臣 ⑩ 市町村長
⑪ 障害基礎年金、遺族基礎年金
⑫ 障害基礎年金、遺族基礎年金、遺族厚生年金
⑬ 障害基礎年金、障害厚生年金、遺族基礎年金
⑭ 障害基礎年金、障害厚生年金、遺族基礎年金、遺族厚生年金
⑮ 据置き ⑯ 地方厚生局長
⑰ 地方厚生支局長 ⑱ 都道府県知事
⑲ 日本年金機構理事長 ⑳ 年金事務所長
問7 解答
正解 A:⑯、B:⑰、C:⑫、D:②、E:⑤ (難易度:B)
A:⑯解説
厚生年金保険法第100条の9の規定によると、厚生労働大臣の権限(一部の権限を除く)は、厚生労働省令で定めるところにより、「地方厚生局長」に委任することができます。また、地方厚生局長に委任された権限は、厚生労働省令で定めるところにより、「地方厚生支局長」に委任することができるとされています。これにより、厚生労働大臣の権限の一部が地方レベルで効率的に行使されることが可能になります。したがって、最適切な選択肢は⑯「地方厚生局長」と⑰「地方厚生支局長」です。
B:⑰解説(上記参照)
C:⑫解説
甲が受給していた障害年金と乙が受給できる遺族年金をすべて挙げれば、「障害基礎年金、障害厚生年金、遺族基礎年金、遺族厚生年金」となります。甲は障害等級2級に該当する程度の障害の状態で障害年金を受給していたため、障害基礎年金と障害厚生年金を受給していた可能性が高いです。また、甲の死亡により、生計を同一にする妻と未婚の子は遺族基礎年金と遺族厚生年金を受給できる可能性があります。したがって、最適切な選択肢は⑫「障害基礎年金、障害厚生年金、遺族基礎年金、遺族厚生年金」です。
D:②解説
令和Ⅹ年度の年金額改定に用いる物価変動率がプラス0.2%、名目手取り賃金変動率がマイナス0.2%、マクロ経済スライドによるスライド調整率がマイナス0.3%で、前年度までのマクロ経済スライドの未調整分が0%だった場合、既裁定者の年金額は前年度から「0.2%の引下げ」となります。マクロ経済スライドの調整は、物価変動率と名目手取り賃金変動率の合計からスライド調整率を引いたものに等しく、これが年金額の改定率となります。したがって、最適切な選択肢は②「0.2%の引下げ」です。
E:⑤解説
厚生年金保険法第67条第1項によると、配偶者又は子に対する遺族厚生年金は、その配偶者又は子の所在が「1年」以上明らかでないときに、遺族厚生年金の受給権を有する子又は配偶者の申請によって、その所在が明らかでなくなったときにさかのぼって、その支給を停止することができます。これにより、受給権者の所在不明が長期にわたる場合に、不正受給を防止することが目的です。したがって、最適切な選択肢は⑤「1年」です。
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