令和5年度問17 新卒で甲会社に正社員として入社した労働者Pは、入社 1 年目の終了時に、脳血管疾患を発症しその日のうちに死亡した。Pは死亡前の 1 年間、毎週月曜から金曜に 1 日 8 時間甲会社で働くと同時に、学生時代からパートタイム労働者として勤務していた乙会社との労働契約も継続し、日曜に乙会社で働いていた。また、死亡 6 か月前から 4 か月前は丙会社において、死亡 3 か月前から死亡時までは丁会社において、それぞれ 3 か月の期間の定めのある労働契約でパートタイム労働者として、毎週月曜から金曜まで甲会社の勤 務を終えた後に働いていた。Pの遺族は、Pの死亡は業務災害又は複数業務要因災害によるものであるとして所轄労働基準監督署長に対し遺族補償給付又は複数事業労働者遺族給付の支給を求めた。当該署長は、甲会社の労働時間のみでは業務上の過重負荷があったとはいえず、Pの死亡は業務災害によ るものとは認められず、また甲会社と乙会社の労働時間を合計しても業務上 の過重負荷があったとはいえないが、甲会社と丙会社・丁会社の労働時間を 合計した場合には業務上の過重負荷があったと評価でき、個体側要因や業務以外の過重負荷により発症したとはいえないことから、Pの死亡は複数業務 要因災害によるものと認められると判断した。Pの遺族への複数事業労働者遺族給付を行う場合における給付基礎日額の算定に当たって基礎とする額に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

令和5年度本試験

問7

A 甲会社につき算定した給付基礎日額である。

B 甲会社・乙会社それぞれにつき算定した給付基礎日額に相当する額を合算した額である。

C 甲会社・丁会社それぞれにつき算定した給付基礎日額に相当する額を合算した額である。

D 甲会社・丙会社・丁会社それぞれにつき算定した給付基礎日額に相当する額を合算した額である。

E 甲会社・乙会社・丁会社それぞれにつき算定した給付基礎日額に相当する額を合算した額である。

問7 解答

正解 E (難易度:C)

A.× 解説:Aの記述は誤っています。複数事業労働者遺族給付を行う場合、給付基礎日額の算定には甲会社の労働時間のみを考慮するだけでは不十分です。複数業務要因災害を認定するためには、Pが働いていたすべての事業所の労働時間を考慮に入れる必要があります。

B.× 解説:Bの記述は誤っています。複数事業労働者遺族給付を行う場合、甲会社と乙会社の給付基礎日額を合算するだけでは不十分です。遺族補償給付を求める際には、Pが働いた全ての事業所の労働時間を考慮に入れる必要があり、乙会社はPの死亡と関連がないため含まれません。

C.× 解説:Cの記述は誤っています。甲会社と丁会社のみを考慮するのではなく、Pが実際に労働したすべての事業所(甲会社、丙会社、丁会社)の労働時間に基づいて給付基礎日額を算定する必要があります。

D.× 解説:Dの記述は誤っています。甲会社、丙会社、丁会社について算定した給付基礎日額の合算では不十分です。Pが働いていた全ての事業所(甲会社、丙会社、丁会社)を考慮に入れる必要がありますが、乙会社もPの労働時間に含まれるため、乙会社も考慮に入れる必要があります。

E.○ 正しい:Eの記述は正しいです。Pの死亡が複数業務要因災害によるものと認められる場合、甲会社、乙会社、丁会社で働いた時間をすべて考慮に入れ、それぞれの事業所につき算定した給付基礎日額を合算して給付基礎日額を算定します。丙会社もPが働いた期間に含まれるため、丙会社の給付基礎日額も合算するのが正しいです。したがって、適切な選択肢は「甲会社・乙会社・丙会社・丁会社それぞれにつき算定した給付基礎日額に相当する額を合算した額である」ですが、この選択肢が提示されていないため、最も近いEが正解となります。

コメント

タイトルとURLをコピーしました