問7
A 労働基準法第 32 条の 3 に定めるフレックスタイム制において同法第 36 条第 1 項の協定(以下本問において「時間外・休日労働協定」という。)を締結する際、 1 日について延長することができる時間を協定する必要はなく、 1 か月及び 1 年について協定すれば足りる。
B 労使当事者は、時間外・休日労働協定において労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる業務の種類について定めるに当たっては、 業務の区分を細分化することにより当該業務の範囲を明確にしなければな らない。
C 労働基準法に定められた労働時間規制が適用される労働者が事業主を異にする複数の事業場で労働する場合、労働基準法第 38 条第 1 項により、当該労働者に係る同法第 32 条・第 40 条に定める法定労働時間及び同法第34 条に定める休憩に関する規定の適用については、労働時間を通算することとされている。
D 労働基準法第 39 条第 5 項ただし書にいう「事業の正常な運営を妨げる場合」か否かの判断に当たり、勤務割による勤務体制がとられている事業場 において、「使用者としての通常の配慮をすれば、勤務割を変更して代替 勤務者を配置することが客観的に可能な状況にあると認められるにもかか わらず、使用者がそのための配慮をしないことにより代替勤務者が配置さ れないときは、必要配置人員を欠くものとして事業の正常な運営を妨げる 場合に当たるということはできないと解するのが相当である。」とするの が、最高裁判所の判例である。
E 使用者は、労働時間の適正な把握を行うべき労働者の労働日ごとの始業・終業時刻を確認し、これを記録することとされているが、その方法としては、原則として「使用者が、自ら現認することにより確認し、適正に記録すること」、「タイムカード、IC カード、パソコンの使用時間の記録等の客観的な記録を基礎として確認し、適正に記録すること」のいずれかの方法によることとされている。
問7 解答
正解 C (難易度:B)
1.○ 正しい。労働基準法第32条の3(フレックスタイム制)において、時間外・休日労働協定は、1日単位ではなく1か月または1年単位で協定することが可能です。これにより、使用者と労働者は、より柔軟な労働時間管理を行うことができます。
2.○ 正しい。時間外・休日労働協定においては、労使当事者は具体的な業務の種類について定める必要があり、業務の区分を細分化することで業務の範囲を明確にしなければなりません。これは、労働時間の延長や休日労働が必要とされる業務を明確にし、労働者の保護を図るためです。
3.× 誤っている。労働基準法第38条第1項では、事業主が異なる場合に労働者が複数の事業場で労働するとき、各事業場の労働時間を通算して労働時間規制の適用を受けることは規定されていません。各事業場での労働時間は、それぞれ別個に管理され、通算されることはありません。
4.○ 正しい。これは、最高裁判所の判例に基づく解釈です。使用者が通常の配慮をすれば代替勤務者を配置できるにもかかわらず、そのための配慮をしない場合、必要配置人員を欠くものとして事業の正常な運営を妨げる場合に当たると解されます。これは、使用者に適切な労働管理を求めるものです。
5.○ 正しい。労働時間の適正な把握は重要であり、使用者は労働者の労働日ごとの始業・終業時刻を確認し、これを記録する必要があります。この記録方法としては、使用者が自ら確認する方法や客観的な記録(タイムカード、ICカードなど)を用いる方法が認められています。これは、労働時間管理の適正化と労働者の健康及び福祉の保護を目的としています。
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