問4
A 労働基準法第 1 条にいう「労働関係の当事者」には、使用者及び労働者のほかに、それぞれの団体である使用者団体と労働組合も含まれる。
B 労働基準法第 3 条にいう「信条」には、特定の宗教的信念のみならず、特定の政治的信念も含まれる。
C 就業規則に労働者が女性であることを理由として、賃金について男性と差別的取扱いをする趣旨の規定がある場合、現実には男女差別待遇の事実がないとしても、当該規定は無効であり、かつ労働基準法第 4 条違反となる。
D 使用者の暴行があっても、労働の強制の目的がなく、単に「怠けたから」又は「態度が悪いから」殴ったというだけである場合、刑法の暴行罪が成立する可能性はあるとしても、労働基準法第 5 条違反とはならない。
E 法令の規定により事業主等に申請等が義務付けられている場合において、事務代理の委任を受けた社会保険労務士がその懈怠により当該申請等を行わなかった場合には、当該社会保険労務士は、労働基準法第 10 条にいう「使用者」に該当するので、当該申請等の義務違反の行為者として労働基準法の罰則規定に基づいてその責任を問われうる。
問4 解答
正解 C (難易度:B)
1.× A:誤り。労働基準法第1条は「この法律は、労働者の労働条件の基準を定めることによって、労働者の生活及び福祉を保護することを目的とする。」と規定しており、「労働関係の当事者」に団体を含むという記載はありません【参考:労働基準法第1条】。
2.× B:正しい。労働基準法第3条は、「この法律は、すべての労働者に適用する。この法律の適用に当たっては、国籍、信条及び社会的身分による差別的取扱いをしてはならない。」と規定しており、「信条」には宗教的、政治的な信念も含まれます【参考:労働基準法第3条】。
3.○ 正しい。就業規則における男女差別的な取り扱いは、労働基準法第4条違反となります。この条文は、「使用者は、労働者を雇入れるに当たり、または労働者を雇用する間、性別、婚姻、家族、妊娠又は出産等による差別的取扱いをしてはならない。」と定めており、規定自体が無効とされます【参考:労働基準法第4条】。
4.× D:誤り。労働基準法第5条は、「使用者は、労働者を虐待し、又は暴行を加えてはならない。」と規定しており、暴行の目的が労働の強制であろうとなかろうと、使用者による労働者への暴行は違反とされます【参考:労働基準法第5条】。
5.× E:誤り。労働基準法第10条における「使用者」とは、労働者を使用する者を指します。社会保険労務士が事務代理の委任を受けた場合、申請等を行わなかったことによる罰則は、直接の使用者である事業主に対して適用され、社会保険労務士はその対象とはなりません【参考:労働基準法第10条】。
以上の解説に基づき、誤っている記述はCです。
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