令和5年度問3 労働基準法第 36 条(以下本問において「本条」という。)に定める時間外及び休日の労働等に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

令和4年度本試験

問3

A 使用者が労働基準法施行規則第 23 条によって日直を断続的勤務として許可を受けた場合には、本条第 1 項の協定がなくとも、休日に日直をさせることができる。

B 小売業の事業場で経理業務のみに従事する労働者について、対象期間を令和 4 年 1 月 1 日から同年 12 月 31 日までの 1 年間とする本条第 1 項の協定をし、いわゆる特別条項により、 1 か月について 95 時間、 1 年について 700 時間の時間外労働を可能としている事業場においては、同年の 1 月に 90 時間、 2 月に 70 時間、 3 月に 85 時間、 4 月に 75 時間、 5 月に 80時間の時間外労働をさせることができる。

C 労働者が遅刻をし、その時間だけ通常の終業時刻を繰り下げて労働させる場合に、一日の実労働時間を通算すれば労働基準法第 32 条又は第 40 条の労働時間を超えないときは、本条第 1 項に基づく協定及び労働基準法第37 条に基づく割増賃金支払の必要はない。

D 就業規則に所定労働時間を 1 日 7 時間、 1 週 35 時間と定めたときは、1 週 35 時間を超え 1 週間の法定労働時間まで労働時間を延長する場合、各日の労働時間が 8 時間を超えずかつ休日労働を行わせない限り、本条第1 項の協定をする必要はない。

E 本条第 1 項の協定は、事業場ごとに締結するよう規定されているが、本社において社長と当該会社の労働組合本部の長とが締結した本条第 1 項の協定に基づき、支店又は出張所がそれぞれ当該事業場の業務の種類、労働者数、所定労働時間等所要事項のみ記入して所轄労働基準監督署長に届け出た場合、当該組合が各事業場ごとにその事業場の労働者の過半数で組織されている限り、その取扱いが認められる。

問3 解答

正解 B (難易度:B)

1.× 正しい。労働基準法施行規則第23条に基づき、日直を断続的勤務として許可を受けた場合、特定の条件下で休日に日直をさせることができます。

2.○ 誤っている。本条第1項の協定に基づく時間外労働の上限は、1か月について100時間未満、1年間については720時間と定められています。したがって、1年間で700時間とする特別条項に基づいても、1月に90時間、2月に70時間とする時間外労働は可能ですが、3月に85時間、4月に75時間、5月に80時間の時間外労働をさせることは、1か月の上限を超えるため誤りです。

3.× 誤っている。遅刻による労働時間の繰り下げは、労働基準法第32条や第40条に規定された通常の労働時間を超えないとしても、本条第1項に基づく協定及び労働基準法第37条に基づく割増賃金の支払いが必要な場合があります。

4.× 誤っている。就業規則により所定労働時間を1日7時間、1週35時間と定めた場合でも、1週35時間を超えて労働時間を延長する際は本条第1項の協定が必要です。

5.× 誤っている。本条第1項の協定は事業場ごとに締結する必要があります。ただし、各事業場の労働者の過半数が組織される労働組合がある場合、その組織が締結した協定を各事業場に適用することは可能ですが、それには各事業場の状況に応じた所要事項を考慮し、労働基準監督署長への届出が必要です。

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