令和5年度 問5 AとBはいずれも甲マンションの区分所有者である。Aが、塔屋及び外壁(いずれも共用部分である。)と自ら所有する専有部分とをあわせて第三者に賃貸して賃料を得ている場合において、Bが、Aに対して、塔屋及び外壁のうち、自らの持分割合に相当する部分について不当利得の返還請求権を行使できるかどうか等に関する次の記述のうち、判例によれば、誤っているものはどれか。なお、甲マンションの規約には、管理者が共用部分の管理を行い、共用部分を特定の区分所有者に無償で使用させることができる旨の定めがあるものとする。

令和5年度本試験

1 区分所有者全員の共有に属する共用部分を第三者に賃貸することは、共用部分の管理に関する事項に当たる。

2 一部の区分所有者が共用部分を第三者に賃貸して得た賃料のうち各区分所有者の持分割合に相当する部分につき生ずる不当利得返還請求権は、各区分所有者に帰属する。

3 区分所有者の団体は、区分所有者の団体のみが各区分所有者の持分割合に相当する部分につき生ずる不当利得返還請求権を行使することができる旨を集会で決議することはできない。

4 甲マンションの規約の定めは、区分所有者の団体のみが各区分所有者の持分割合に相当する部分につき生ずる不当利得返還請求権を行使することができる旨を含むものと解することができる。

問5 解答

正解 3 (難易度:B)

1.○ 正しい。共用部分の賃貸は共用部分の管理に関する事項に当たります。区分所有法に基づき、共用部分は区分所有者全員の共有に属し、その使用や管理に関する事項は全員の共同の利益にかかわることから、この記述は正しいです。

2.○ 正しい。一部の区分所有者が共用部分を第三者に賃貸し、そのことによって得た賃料について、不当利得として返還を求める権利は各区分所有者に帰属します。これは、共用部分に対する各区分所有者の持分割合に基づく権利であり、判例もこれを支持しています。

3.× 誤り。区分所有法に基づくと、区分所有者の団体(管理組合)は、その集会で決議することによって、共用部分に関する権利、例えば不当利得返還請求権を行使することができます。この決議により、管理組合が区分所有者全員の代わりにその権利を行使することが可能になります。従って、3の記述は誤りです。

4.○ 正しい。甲マンションの規約には、管理者が共用部分の管理を行い、共用部分を特定の区分所有者に無償で使用させることができる旨の定めがあるとされています。これは、管理組合が共用部分に関する権利を行使できる旨を含むものと解釈できます。したがって、4の記述は正しいと解されます。

この問題は、区分所有法と判例に基づく共用部分の賃貸に関する区分所有者及び区分所有者の団体の権利について問うものです。不正解の選択肢3は、管理組合の権利行使に関する法的な解釈が誤っている点に基づいて誤りとされています。

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