1 Aは、本心では303号室を売却するつもりはなく、ただBを欺く目的で売買契約を締結した場合において、Bがそのことを知り、又は知ることができたときは、売買契約は無効となる。
2 Aは、本心では303号室を売却するつもりはなかったが、借入金の返済が滞り差押えを受ける可能性があったため、Bと相談のうえ、Bに売却したことにして売買契約を締結したときは、売買契約は無効となる。
3 Bは、甲マンションの近くに大学が新設されると考えて303号室を購入したが、そのような事実がなかったときは、Bが大学の新設を理由に購入したことがAに表示されていなくても、Bは売買契約を取り消すことができる。
4 Bは、知人のCによる詐欺により、303号室を購入することを決め、Aと売買契約を締結した場合において、BがCによる詐欺を理由に売買契約を締結したことをAが知らず、かつ、知ることもできなかったときは、Bは売買契約を取り消すことができない。
問12 解答
正解 3 (難易度:C)
1.○ 正しい
解説:民法第96条により、欺罔(ぎぎ)や強迫によって意思表示をされた場合、その意思表示は取り消すことができる。選択肢1の状況は欺罔に該当し、BがAの真意を知るか、知ることができた時点で、売買契約は無効となる可能性がある。
2.○ 正しい
解説:選択肢2はAが本心で303号室を売却する意志がなかったものの、借金返済のためにBと相談して売却することにした場合を示している。この場合、Aの意思表示は真実であり、契約は有効である。
3.× 解説
解説:売買契約においては、重要な事実について誤認があった場合に契約を取り消すことができる(民法第95条)。しかし、選択肢3のケースでは、Bの期待はAに対して表示されていないため、契約の取り消しは認められない。
4.○ 正しい
解説:民法第96条に基づき、BがCの詐欺によって意思表示をした場合、Aがその事実を知らなかったとしても、Bは契約を取り消すことができる。しかし、BがAとの間で売買契約を締結した時点でCによる詐欺の事実を知っていた場合、契約の取り消しは認められない。
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