問15 民法
AがBに対し、甲マンションの202号室を5,000万円で売却する旨の契約を締結しました。契約に際して、Bは手付金として500万円をAに支払いました。契約書には、手付に関する特約が設けられていないものとします。この状況下での次の記述のうち、民法に基づいて誤っているものはどれか。
1 AがBに対し、手付金の倍額である1,000万円を支払うことで、Bの同意なしに売買契約を解除することが可能である。
2 Bが履行の着手前に手付金500万円を放棄して売買契約の解除をすることができる。
3 Aが売買契約を解除した場合、Bから受け取った手付金500万円を没収し、さらにBの債務不履行により生じた損害の全額を賠償請求することができる。
4 Bが売買契約を解除した場合、AはBに対して500万円を超える損害賠償を請求することができない。
問15 解答
正解 3 (難易度:B)
1.× 民法では、手付金の倍額を支払うことで契約を解除できると規定しており、Aは1,000万円をBに支払うことにより、Bの同意なしに契約を解除できます。
2.○ Bは履行の着手前に手付金を放棄することで契約を解除できるため、この選択肢は正しいです。
3.× Aは、Bの債務不履行により契約を解除する場合、手付金を没収することは可能ですが、それに加えて損害全額の賠償を請求することはできません。民法では、手付金の没収は損害賠償の代わりとなるため、追加の損害賠償請求は認められていません。
4.○ Bが契約を解除した場合、Aは500万円を超える損害についてBに請求することはできません。手付金の放棄は、契約解除に伴う損害賠償の上限を規定します。
解説:
本問は、民法の手付に関する規定を問うものです。手付金は、契約の履行保証としての役割を持ち、契約解除の際の損害賠償額の上限を定めるものです。選択肢3が誤っている理由は、民法第560条において、手付金の没収は損害賠償の一形態とされており、追加の損害賠償を超える請求は許されないためです。
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