問14 民法
あるマンションの管理組合が、長期修繕計画に基づき修繕積立金の額を決定した。しかし、数年後にマンションの一部所有者が、積立金の額の増額が不当であると主張し、管理組合に対して増額分の支払いを拒否した。この場合に関する次の記述のうち、民法及びマンションの管理に関する法律(マンション管理適正化法)の規定によれば、正しいものはどれか。
1 マンションの一部所有者は、管理組合の決定に不服がある場合、増額分の支払いを拒否することができる。
2 修繕積立金の額の増額は、管理組合の総会での決議によってのみ行われるため、一部所有者の支払い拒否は無効である。
3 長期修繕計画に基づく修繕積立金の額の増額は、所有者全員の合意が必要であり、一部の所有者が合意していない場合は増額は無効である。
4 修繕積立金の額の増額に関する決定は、裁判所の判断によってのみ覆されるため、所有者は増額分の支払いを拒否できない。
問14 解答
正解 2 (難易度:C)
1.× 誤っている。マンション管理適正化法及び民法の規定によれば、管理組合の決定に対して不服がある場合でも、一部所有者が独自に修繕積立金の支払いを拒否することは認められていません。支払いの義務は、管理組合の正当な決定に基づくものであり、不服がある場合は異議申し立て等の正当な手続きを踏む必要があります。
2.○ 正しい。マンション管理適正化法によれば、修繕積立金の額の決定や増額は管理組合の総会での決議によって行われます。この決議に基づく増額は、法的に拘束力を持ち、全所有者に対して支払いの義務が生じます。したがって、総会の決議に従わない一部所有者の支払い拒否は無効です。
3.× 誤っている。長期修繕計画に基づく修繕積立金の増額に所有者全員の合意が必要という規定はマンション管理適正化法には存在しません。決定は管理組合の総会での適正な決議によって行われ、特定の割合以上の賛成があれば決議は有効です。
4.× 誤っている。修繕積立金の額の増額決定が裁判所によってのみ覆されるというのは誤りです。管理組合の決定が法令や定款に反している場合には、所有者は管理組合総会の決議を無効とする訴えを提起することができますが、これは裁判所の判断に委ねられるものであり、所有者が独断で支払いを拒否する根拠にはなりません。
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