あるマンションにおいて、敷地は区分所有者全員による共有であり、その共有持分は専有部分の床面積に応じて定められている。敷地の一部に他の建物が接する公道があり、この公道の拡張計画が近隣住民から提案されている。
1 マンションの区分所有者は、敷地の共有持分を有しているため、公道拡張に関する決議は、敷地の持分に応じた議決権に基づいて行われる。
2 マンションの敷地が公道に接している場合、公道拡張のための土地の提供は、自治体の要請があれば、区分所有者の共有に関わらず無償で行う必要がある。
3 敷地の共有者間で公道拡張による敷地の一部提供に同意が得られた場合、その提供される土地に関する共有持分は消滅する。
4 公道拡張計画のための敷地提供決議は、全員の合意がなければ効力を有しないが、合意に達しない場合、裁判所の許可により敷地提供が行われることがある。
問20 解答
正解 3 (難易度C)
1 × 管理組合の議決権は、敷地の持分に応じて行われるが、公道拡張に関する決議については、宅地建物取引業法や民法の直接の規定はなく、管理組合の規約や地方自治体の条例等に依存するため、この選択肢は不完全である。
2 × 公道拡張のための土地提供について宅地建物取引業法は規定しておらず、無償提供の義務については、土地の取得に関しては民法の規定により行われることが一般的である。ただし、具体的な条件は地方自治体との協議によって異なる。
3 ○ 正しい。公道拡張による土地提供に同意が得られた場合、提供される土地に関する共有持分は、当該土地の性質が変わるため消滅し、民法上の共有の規定に従う。
4 × 全員の合意が得られない場合に裁判所の許可を得て敷地提供を行う可能性については、民法の共有物分割の規定(民法第261条)や裁判所が関与するその他の手続きに関連するが、一般的な敷地提供に関する決定としては誤っている。
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