問12 丁マンション205号室の区分所有者であるGは、その部屋を長期出張のため空けていたが、Gの兄Hが無断でGの実印を使用し、委任状を偽造してGの代理人として同室を第三者Iに賃貸する契約を締結した。この事実を知らないGは帰国後、第三者Jに同室を賃貸する契約を締結し、Jは実際に入居した。この場合に関する次の記述のうち、民法及び区分所有法の規定並びに判例によれば、正しいものはどれか。

パート3

1 Gは、Hが作成した偽造委任状を根拠にIとの間で締結された賃貸契約を取り消すことができる。

2 Iが、Gの所有する205号室に関する賃貸契約の存在を知らずにJに転賃した場合、GはJに対して賃貸契約を取り消すことができる。

3 Gの兄Hが偽造した委任状に基づき、Iが賃貸契約を結んだことを知った上でGが黙認していた場合、Gは後にその賃貸契約を取り消すことはできない。

4 Gが帰国後、自らの部屋がIに賃貸されていることを知り、Jに対して「7日以内に追認するかどうかを確答して欲しい」と催告したが、Jが期間内に返答しなかった場合、GとJとの間の賃貸契約は成立しない。

問12 解答

正解 3 (難易度 A)

1 × 解説:Gは偽造委任状に基づく賃貸契約を取り消すことはできますが、この場合、GはIに対して契約の無効を主張し、Jへの優先権を行使することが必要です(民法第104条、第109条)。

2 × 解説:Iが賃貸契約をGと行ったと誤信してJに転賃した場合、Gは直接Iに対する契約関係に基づいて権利行使を行うべきで、Jに対しては権利を主張できない可能性が高いです。

3 ○ 正しい。GがHの行為を知りながら黙認した場合、民法上、黙認は追認とみなされることがあるため、後になって契約を取り消すことはできなくなります(民法第115条)。

4 × 解説:GがJに追認を求めたにも関わらず、Jが期間内に返答しなかった場合、GとJとの賃貸契約は無返答のまま未成立となります。Gの催告は、契約成立のための要求であり、これに応じないJに対しては、Gは契約の効力を主張できません。

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