４－７Ｙが賃貸期間中に室内に設置したエアコンを撤去し、壁にできた穴を埋めずに契約終了時に退去した場合、以下の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。

問７　権利関係

マンションを所有するＸが、Ｙに対し同マンションの一室を賃貸した。賃貸借契約には、Ｙが契約終了後に原状回復をすることが明記されている。Ｙが賃貸期間中に室内に設置したエアコンを撤去し、壁にできた穴を埋めずに契約終了時に退去した場合、以下の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。

１　Ｙは、エアコン撤去による壁の穴を埋める義務がないため、ＸはＹに対して損害賠償を請求することはできない。

２　Ｙは、原状回復義務に違反したため、ＸはＹに対してエアコン撤去に伴う修復費用の全額を請求できる。

３　Ｙがエアコンを設置したこと自体が賃貸借契約違反であり、ＸはＹに対して損害賠償を請求できる。

４　Ｘは、Ｙに対して原状回復を求めることができるが、エアコン設置による利益相当額を考慮して損害額を算定する必要がある。

問７　解答

正解　４　（難易度：B）

１．×　誤っている。民法の原則により、賃借人は原状回復義務を負います。賃借人が賃貸物件に加えた変更を原状に戻すことを怠った場合、賃貸人は損害賠償を請求することができます。

２．×　誤っている。原状回復に関しては、借主の責任を超える部分について賃貸人が全額を請求することはできません。賃貸物件の通常の使用による摩耗や老朽化も考慮されるべきです。

３．×　誤っている。賃貸借契約で特別な禁止がない限り、賃借人は賃貸物件内での改修や設備の設置を行うことができます。ただし、契約終了時には原状回復義務があります。

４．○　正しい。民法605条により、賃借人は原状回復義務を負います。ただし、原状回復においては、賃貸物件の利用による通常の摩耗や老朽化、および賃借人の改修による物件の価値向上も考慮されるべきです。したがって、ＸはＹに対して原状回復を求めることはできますが、エアコン設置による利益相当額を考慮して損害額を算定する必要があります。