(判決文)
遺産は、相続人が数人あるときは、相続開始から遺産分割までの間、共同相続人の共有に属するものであるから、この間に遺産である賃貸不動産を使用管理した結果生ずる金銭債権たる賃料債権は、遺産とは別個の財産というべきであって、各共同相続人がその相続分に応じて分割単独債権として確定的に取得するものと解するのが相当である。
1 遺産である不動産から、相続開始から遺産分割までの間に生じた賃料債権は、遺産である不動産が遺産分割によって複数の相続人のうちの一人に帰属することとなった場合、当該不動産が帰属することになった相続人が相続開始時にさかのぼって取得する。
2 相続人が数人あるときは、相続財産は、その共有に属し、各共同相続人は、その相続分に応じて被相続人の権利義務を承継する。
3 遺産分割の効力は、相続開始の時にさかのぼって生ずる。ただし、第三者の権利を害することはできない。
4 遺産である不動産が遺産分割によって複数の相続人のうちの一人に帰属することとなった場合、当該不動産から遺産分割後に生じた賃料債権は、遺産分割によって当該不動産が帰属した相続人が取得する。
問1 解答
正解 1 (難易度:B)
1.× 誤っている。遺産である不動産から生じた賃料債権は、遺産分割までの間、共同相続人の共有財産となり、各共同相続人がその相続分に応じて取得する。遺産分割によって不動産が一人の相続人に帰属した場合でも、賃料債権はすでに共同相続人が相続開始時から共有していたため、遺産分割の結果として帰属する相続人にさかのぼって取得されるわけではない。この点についての誤解を示しているため誤り。参照:民法(相続編)。
2.○ 正しい。相続財産は、共同相続人の共有に属し、各共同相続人は、その相続分に応じて被相続人の権利義務を承継する。これは民法の基本的な規定に則った記述であり、正しい。
3.○ 正しい。遺産分割の効力は、原則として相続開始の時にさかのぼって生じるが、第三者の権利を害することはできないとするのは民法の規定に沿った正しい記述である。
4.○ 正しい。遺産である不動産が遺産分割によって一人の相続人に帰属する場合、その後に生じた賃料債権は、その不動産を取得した相続人が取得する。これは、遺産分割後の状況を示しており、適切な説明となっている。
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