【問 6】 XはYにX所有の乙土地を令和4年4月1日に賃貸し、YはXの承諾を得てZに適法に乙土地を転貸し、Zが乙土地にて営業を行っている場合における次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。

1 Xは、Yとの間の賃貸借契約に違反する行為があった場合、その違反行為を理由としてZに対して契約の終了を通知することはできない。

2 Zの営業活動によって乙土地に損害が生じた場合、XはYに対して、乙土地の返還を受けた時から2年以内に損害賠償を請求しなければならない。

3 XがWに乙土地を売却した場合、XW間で特段の合意がない限り、賃貸人の地位はWに移転する。

4 YがXに約定の賃料を支払わない場合、Zは、Yの債務の範囲を限度として、Xに対して転貸借に基づく債務を直接履行する義務を負うが、Zによる賃料の前払いはXに対しては効果を持たない。

問6 解答

正解 3 (難易度:B)

1.○ 正しい

– YとZの転貸借は、YとXの間の原賃貸借に対して第三者の権利を形成するものであり、原賃貸借の契約に違反する行為があったとしても、XはZに対して契約終了を通知することはできない。民法323条。

2.○ 正しい

– 賃貸人であるXが、賃借人Yから土地を返還を受けた場合、XはYに対して、損害賠償の請求は乙土地の返還を受けた日から2年以内に行わなければならない。民法419条。

3.× 不動産の賃貸人の地位は、売買により自動的に移転するわけではない。XがWに乙土地を売却した場合、XとWが賃貸人の地位の移転に関して特別な合意をしない限り、Wが賃貸人の地位を引き継ぐわけではない。民法601条。

4.○ 正しい

– Yが賃料を支払わない場合、Zは原賃貸借に基づくYの債務の範囲を限度として、Xに対して転貸借に基づく債務を直接履行する義務を負うが、ZがYに対して賃料を前払いした場合、その前払いはXに対しての効果はない。民法323条及び324条。

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