第二回 問10 抵当権

Xは、Yからの賃料の未払い金を担保するため、X所有の乙土地に第一順位の質権を設定し、その登記を行った。XとZ間に、Zを賃借人とする乙土地の使用目的の賃貸借契約が存在する場合に関する次の記述のうち、民法及び借地借家法の規定並びに判例によれば、正しいものはどれか。

1.質権設定登記後にXZ間の賃貸借契約が締結され、XのYに対する賃料の未払い金の返済が債務不履行となった場合、Yは質権に基づき、XがZに対して有している使用料債権を差し押さえることができる。

2.Zが質権設定登記より前に賃貸借契約に基づき乙土地の使用権を受けていたとしても、XZ間の賃貸借契約の期間を定めていない場合には、Zの賃借権は乙土地の競売による買受人に対抗することができない。

3.質権設定登記後にXZ間で賃貸借契約を締結し、その後質権に基づく競売手続による買受けがなされた場合、買受けから賃貸借契約の期間満了までの期間が2年であったときは、Zは乙土地の競売における買受人に対し、期間満了までは乙土地を引き渡す必要はない。

4.Zが質権設定登記より前に賃貸借契約に基づき乙土地の使用権を受けていたとしても、Zは、乙土地の競売による買受人に対し、買受人の買受けの時から2年を経過した時点で乙土地を買受人に引き渡さなければならない。

問10 解答

正解 1 (難易度:B)

1.○ 正しい

根拠:民法第313条によれば、債権者は債務者の債権を差し押さえることができる。この場合、XがZに対して持っている使用料債権はYにより差し押さえ可能な債権となる。

2.× 解説

Zが質権設定登記より前に賃貸借契約に基づき乙土地の使用権を受けた場合、その賃貸借契約は質権設定登記に先行するため、乙土地の競売による買受人に対しても権利が存続する(民法第367条及び借地借家法の規定)。したがって、Zの賃借権は買受人に対抗可能である。

3.× 解説

質権設定登記後にXZ間での賃貸借契約は、質権設定登記に後続するものとなり、競売による買受人の権利には対抗できない(民法第367条及び借地借家法の規定)。したがって、Zは乙土地の競売における買受人に対し、直ちに乙土地を引き渡す必要がある。

4.× 解説

Zが質権設定登記より前に賃貸借契約に基づく権利を持っている場合、その権利は買受人の権利に対抗できる(民法第367条及び借地借家法の規定)。したがって、買受けから2年を経過した時点での引き渡しの義務は存在しない。

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