PがQに対してP所有の乙建物を令和6年5月5日に①売却した場合と②賃貸した場合についての次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
1.①と②の契約が破棄された場合、①ではQは乙建物の使用から得た利益をPに返還する必要があるが、②ではPはQに賃料を返還する必要はない。
2.①ではQは乙建物をRに賃貸することが可能だが、②ではQはPの承諾なしにRに転貸することはできない。
3.乙建物がSによって不法占拠されている場合、①ではQは乙建物の所有権移転登記を持っていない場合、所有権をSに対抗できない。②の場合、Qは賃借権の登記があれば、賃借権をSに対抗できる。
4.①と②の契約締結後、乙建物の引渡し前に、乙建物がTの過失により半壊した場合、①ではQはPに対して売買代金の減額を要求することができ、②ではQはPとの間の賃貸借契約を終了する権利が発生する。
問9 解答
正解 1 (難易度B)
1.× 解説:契約が破棄された場合、売却(①)の場合、乙建物の使用から得た利益の返還義務は生じる(民法420条)。しかし、賃貸(②)の場合、契約の解除が生じた場合、解除前に支払われた賃料の返還請求が可能となる。したがって、PはQに賃料を返還する必要が生じることがある(民法541条)。
2.○ 正しい:売却(①)の場合、Qは乙建物の所有者として乙建物を自由にRに賃貸することができる。一方、賃貸(②)の場合、原則としてQはPの承諾を得ないとRに転貸することはできない(民法604条)。
3.○ 正しい:乙建物がSによって不法占拠されている場合、売却(①)の場合、Qは乙建物の所有権移転登記をしていない場合、所有権をSに対抗できない(不動産登記法第39条)。一方、賃貸(②)の場合、Qが賃借権の登記を行っていれば、賃借権をSに対抗することができる(不動産登記法第24条)。
4.× 解説:売却(①)の場合、契約締結後に物の危害が生じた場合、物が壊滅または傷害したことにより、目的物の引渡しができなくなったとき、Qは売買代金の支払を拒むことができる(民法562条)。一方、賃貸(②)の場合、目的物の半壊により、契約の目的を達することができなくなった場合、Qは契約の解除を求めることができるが、自動的に契約が終了するわけではない(民法548条)。
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