DがEの代理人として行った行為に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。なお、いずれの行為もEの追認はないものとし、令和6年1月1日以降になされたものとする。
1.DがEの代理人として、Eに明示的な指示がないにもかかわらず、代理権の範囲外の行為をした場合、相手方Fがその超過行為を知っていたとしても、DF間の法律行為の効果はEに帰属する。
2.EがDに代理権を与えていないにもかかわらず代理権を与えた旨をFに表示し、Dが当該代理権の範囲内の行為をした場合、FがDの代理権の存在を信じていた場合、Eはその責任を負わなければならない。
3.DがEから特定の行為だけの代理権を与えられている場合、それ以外の行為を行ったとしても、相手方FがDの限定的な代理権を知っていた場合、原則としてその法律行為の効果はEに帰属しない。
4.EがDに与えた代理権を取り消した旨を明示せずに取り消していた場合、Dが代理権の範囲内の行為を行い、相手方Fが当該取り消しの事実を知らなかったとしても、Eはその責任を負うことになる。
問5 解答
正解 3 (難易度:A)
1.× 解説 代理人が代理権の範囲を超えて行為をした場合、その行為は原則として主人(E)に対する効果を生じない。ただし、主人がその行為を追認した場合や、第三者が代理権の存在を信じて行為をした場合には、主人に対する効果が生じることがある。この問題ではEの追認はないという前提のもと、相手方Fが超過行為を知っていた場合でも、Eに対する効果は生じない。(参照:民法第99条)
2.× 解説 代理権表示責任によれば、主人(E)が代理権を与えていないにもかかわらず、第三者に対して代理権を表示した場合、その第三者が善意かつ過失なくその表示を信じて行為をしたとき、その行為は主人に対する効果を生じる。(参照:民法第103条第1項)
3.○ 正しい 代理人が受けている代理権の範囲を超えて行為をした場合、その行為は原則として主人(E)に対する効果を生じない。この原則は、第三者が代理人の代理権の範囲を知っている場合にも適用される。(参照:民法第99条)
4.× 解説 代理権が消滅した後、代理人が行為をした場合、その行為は原則として主人に対して効果を生じない。ただし、第三者が善意かつ過失なく代理権の存在を信じて行為をしたとき、その行為は主人に対する効果を生じる。この問題文では、相手方Fが代理権消滅の事実を知らなかった場合、Eはその責任を負うと記載しているが、正しくは、行為がEに対する効果を生じることを示している。(参照:民法第102条)
コメント