以下は、宅地建物取引業者ではない売主Xと買主Yとの間で令和6年6月1日に締結した売買契約に関する記述である。民法の規定によれば、正しいものはどれか。
1.YがXに対して手付を交付した場合、Xは、目的物を引き渡さない場合、手付の半額をYに返還する義務がある。
2.売買契約の締結と同時に、Xが目的物をYに貸し出すことができる旨の特約をする場合、貸出期間の合意をしなければ、貸出の特約自体が無効となる。
3.Yが購入した目的物が第三者Zの所有物であり、Xが売買契約締結時点でそのことを知っていた場合には、XはYにその事実を告知する義務があり、告知しなかった場合損害賠償責任が生じる。
4.目的物の引渡しの時点で目的物が適切な許可や証明を持っていないことをXが知っていた場合には、当該適切な許可や証明に関する請求権が消滅時効にかかっていない限り、YはXの担保責任を追及することができる。
問4 解答
正解 3 (難易度:A)
1.× 解説:民法第562条において、手付を交付した場合、契約が履行されない時、手付金は倍額で返還されるべきである。したがって、手付の半額を返還するという記述は間違っている。
2.× 解説:民法において、売買契約に関する特約に関する特別な規定はなく、一般的な契約の原則に従う。貸出の特約に関して、貸出期間の合意をしないと特約が無効となるという明確な規定は存在しない。
3.○ 正しい:民法第566条に基づき、売主が目的物の第三者の権利を知っていて告知しなかった場合、買主は損害賠償を請求できる。
4.× 解説:民法第562条及び第570条に基づき、売主が担保責任を負うのは目的物が契約内容に適合しない場合であり、適切な許可や証明がない場合もこれに該当する。しかし、消滅時効に関する記述は不正確である。民法第166条及び第167条により、売買契約における担保責任に関する請求権の時効は1年であり、引渡しから起算する。
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