第二回 問1 自力救済(判決文)

土地及び建物の法定占有者は、占有を続ける権利を有する。しかし、他人の権利を侵害する占有は、それが違法である限り、不法行為として扱われる。法定占有期間は、原則として20年であるが、特定の事情により短縮されることが法律で認められている。

1.土地を20年以上継続して占有していた者は、その土地の所有権を主張することができるが、その占有が明らかに他人の権利を侵害するものであった場合、法定占有の主張はできない。

2.土地の法定占有期間は、あらゆる状況下で一定の20年である。

3.建物を20年間占有した者は、その建物の所有権を自動的に取得する。

4.ある者が隣接する土地を占有していたが、その土地の所有者が10年間異議を申し立てなかった場合、占有者はその土地の所有権を取得できる。

問1 解答

正解 1 (難易度:B)

1.○ 正しい。

    – 法定占有による所有権の取得は、土地や建物を一定期間以上継続して公然と占有した者が、その期間が満了することでその物の所有権を取得することができる制度です(民法240条)。ただし、占有が他人の権利を侵害する明白な違法行為であった場合、法定占有を主張することはできません。

2.× 土地の法定占有期間は、原則20年ですが、特定の事情で短縮されることがあります。例えば、前所有者がその土地を放棄した宣言をした場合、占有期間は10年に短縮されます(民法242条)。

3.× 建物を占有しても、それだけで自動的にその建物の所有権を取得するわけではありません。占有者はその占有が法定占有期間を超えて継続していることを証明し、さらにその他の要件(例:公然性、平穏性)も満たされている必要があります(民法240条、241条)。

4.× 占有者が隣接する土地を占有していても、その土地の所有者が10年間異議を申し立てなかったからといって、占有者がその土地の所有権を取得できるわけではありません。法定占有の原則期間は20年です(民法240条)。ただし、特定の事情で10年に短縮されることもありますが、単に異議を申し立てないだけでは、その条件を満たすことはできません。

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