A所有の甲土地にBのCに対する債務を担保するためにCの抵当権(以下この問において「本件抵当権」という。)が設定され、その旨の登記がなされた場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。
1.Aが甲土地を売却した後、Bの債務がCに弁済されず、Cが本件抵当権を実行し、甲土地が競売にかけられた場合、本件抵当権は競売により消滅する。
2.甲土地の賃借人Dは、本件抵当権が設定されたことを知りながら、賃料をAに支払い続けている場合、本件抵当権の実行により甲土地がCの所有となった場合でも、Dは賃料を引き続きAに支払うことができる。
3.本件抵当権設定登記後に、甲土地上に乙建物が築造された場合、Cは本件抵当権の実行として競売を申し立てるときに、乙建物を抵当権の目的として追加登記しなければならない。
4.Aが甲土地をEに売却し、その後Eが甲土地をFに売却した場合、Fは抵当不動産の第三取得者として、本件抵当権について、Cに対して抵当権消滅請求をすることができる。
問4 解答
正解 1 (難易度 B)
1.○ 正しい
本件抵当権は、甲土地が競売により他の者に移転された場合、その抵当権は消滅する(民法418条)。
2.× 解説
甲土地の賃借人Dは、本件抵当権が設定されたことを知りながら、賃料をAに支払い続けている場合でも、本件抵当権の実行により甲土地がCの所有となった場合、Dは引き続きAに賃料を支払うことができない。賃料は新たな所有者であるCに支払われるべきである(民法603条)。
3.× 解説
本件抵当権設定登記後に、甲土地上に乙建物が築造された場合、Cは本件抵当権の実行として競売を申し立てるときに、乙建物を抵当権の目的として追加登記する必要はない。抵当権は土地に設定された場合、土地に付属する建物も抵当権の目的となる(民法391条)。
4.× 解説
Aが甲土地をEに売却し、その後Eが甲土地をFに売却した場合、Fは抵当不動産の第三取得者として、本件抵当権について、Cに対して抵当権消滅請求をすることができない。Fは甲土地を本件抵当権が設定された状態で取得したため、Cの抵当権は依然として存続している(民法419条)。
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