令和5年度問6 A所有の甲土地について、Bが所有の意思をもって平穏にかつ公然と時効取得に必要な期間占有を継続した場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはいくつあるか。

問6 権利関係 

ア AがCに対して甲土地を売却し、Cが所有権移転登記を備えた後にBの取得時効が完成した場合には、Bは登記を備えていなくても、甲土地の所有権の時効取得をCに対抗することができる。

イ Bの取得時効が完成した後に、AがDに対して甲土地を売却しDが所有権移転登記を備え、Bが、Dの登記の日から所有の意思をもって平穏にかつ公然と時効取得に必要な期間占有を継続した場合、所有権移転登記を備えていなくても、甲土地の所有権の時効取得をDに対抗することができる。

ウ Bの取得時効完成後、Bへの所有権移転登記がなされないままEがAを債務者として甲土地にAから抵当権の設定を受けて抵当権設定登記をした場合において、Bがその後引き続き所有の意思をもって平穏にかつ公然と時効取得に必要な期間占有を継続した場合、特段の事情がない限り、再度の時効取得により、Bは甲土地の所有権を取得し、Eの抵当権は消滅する。

1 一つ
2 二つ
3 三つ
4 なし

問6 解答

正解 3 (難易度:B)

ア.○ 正しい。民法162条によれば、所有権の時効取得は、公然・平穏・継続・意思の要件を満たし、法定の期間が経過することで成立します。Bが時効取得に必要な期間占有を継続していた場合、AがCに対して売却し、Cが所有権移転登記をした後でも、Bの取得時効が完成していれば、Bは登記されていなくても甲土地の所有権をCに対抗できます。これは、時効による所有権取得が登記された所有権を抗弁できるという原則に基づきます。

イ.○ 正しい。Bが取得時効を完成させた後にAがDに甲土地を売却し、Dが所有権移転登記をしたとしても、Bが引き続き甲土地を所有の意思をもって平穏かつ公然と占有し続ける場合、Bはその時効による取得をDに対抗できます。Dの登記があった後であっても、Bの時効取得の効力は変わらないため、Bは引き続き甲土地の所有権を主張できます。

ウ.○ 正しい。Bが時効により甲土地の所有権を取得していたとしても、その取得が登記されていない場合、第三者がAから甲土地に抵当権を設定してもらい、登記をすることが可能です。しかし、Bが引き続き甲土地を所有の意思をもって平穏にかつ公然と占有し続ける場合、特段の事情がない限り、Bは再度の時効によって所有権を取得し、Eの抵当権はその効力を失います。これは、実質的な所有者であるBの権利が保護されるべきであるという考え方に基づきます。

したがって、正しい記述は三つあり、「3 三つ」が正解です。過去問との類似性についての情報は特にありませんでした。

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