第一回 問6 賃貸借・使用貸借

Aを貸主、Bを借主として、A所有の甲土地につき、駐車場とする目的で期間を3年として、AB間で、①賃貸借契約を締結した場合と、②使用貸借契約を締結した場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。

1.Aは、甲土地をBに引き渡す前であれば、①では書面で契約を締結している場合でも自由に解除できるのに対し、②では口頭での契約の場合に限り自由に解除できる。

2.Bは、①ではAの承諾がなければ甲土地を適法に転貸することはできないが、②ではAの承諾がなくても甲土地を適法に転貸することができる。

3.Bは、①では期間内に解約する権利を留保しているときには期間内に解約の申入れをし解約することができ、②では期間内に解除する権利を留保していなくてもいつでも解除することができる。

4.甲土地について契約の本旨に反するBの使用によって生じた損害がある場合に、Aが損害賠償を請求するときは、①では甲土地の返還を受けた時から5年以内に請求しなければならないのに対し、②では甲土地の返還を受けた時から3年以内に請求しなければならない。

問6 解答

正解 3 (難易度 C)

1.× 解説:民法での賃貸借契約(民法605条)および使用貸借契約(民法577条)において、契約を自由に解除できる規定は存在しない。したがって、いずれの契約でも、一度締結した契約は原則として当事者間で合意がない限り解除できない。

2.× 解説:使用貸借契約(民法577条)でも、賃貸借契約(民法605条)と同様に、Aの承諾がなければBは甲土地を適法に転貸することはできない。両契約ともに、転貸には原貸主の承諾が必要である。

3.○ 正しい:賃貸借契約において、借主は期間内に解約する権利を留保しているときには期間内に解約の申入れをし解約することができる(民法614条)。使用貸借契約においては、期間内であっても借主はいつでも解除することができる(民法583条)。

4.× 解説:民法において、甲土地の返還を受けた時から損害賠償請求の期間が異なる規定は存在しない。賃貸借契約も使用貸借契約も、損害賠償請求の期限は民法724条により、権利の侵害があった時から3年以内とされている。

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