令和5年度問12 令和5年7月1日に締結された建物の賃貸借契約(定期建物賃貸借契約及び一時使用目的の建物の賃貸借契約を除く。)に関する次の記述のうち、民法及び借地借家法の規定並びに判例によれば、正しいものはどれか。

問12 権利関係 

1 期間を1年未満とする建物の賃貸借契約は、期間を1年とするものとみなされる。

2 当事者問において、一定の期間は建物の賃料を減額しない旨の特約がある場合、現行賃料が不相当になったなどの事情が生じたとしても、この特約は有効である。

3 賃借人が建物の引渡しを受けている場合において、当該建物の賃貸人が当該建物を譲渡するに当たり、当該建物の譲渡人及び譲受人が、賃貸人たる地位を譲渡人に留保する旨及び当該建物の譲受人が譲渡人に賃貸する旨の合意をしたときは、賃貸人たる地位は譲受人に移転しない。

4 現行賃料が定められた時から一定の期間が経過していなければ、賃料増額請求は、認められない。

問12 解答

正解 3 (難易度:B)

1 × 誤り。民法第627条の2によれば、建物賃貸借契約の最低期間は原則として2年です。しかし、期間を1年未満とする契約が無条件で1年とみなされるわけではありません。したがって、1の記述は誤っています。

2 × 誤り。民法第32条に基づき、契約の内容が公序良俗に反する場合や、賃料が明らかに不相当に高額または低額となった場合など、一定の特約は無効となる可能性があります。賃料の減額を拒否する特約も、賃料が不相当になった場合には無効とされることがあります(借地借家法第34条の2)。

3 ○ 正しい。民法第601条に基づき、賃借人が建物の引渡しを受けている場合、賃貸人が建物を譲渡するにあたり、譲受人との間で賃貸人たる地位の留保に関する合意をした場合、賃貸人たる地位は譲受人に移転しません。この場合、賃借人は引き続き元の賃貸人に対して賃料を支払う義務があります。

4 × 誤り。賃料の増額請求が認められるかどうかは、賃料が定められた時からの経過期間だけで決まるものではありません。借地借家法第32条に基づき、賃料の増額請求は、賃料が明らかに不相当に低くなった場合など、正当な理由があれば、一定の期間が経過していなくても認められることがあります。

この問題は、民法及び借地借家法における建物賃貸借契約に関する規定の理解を問うものです。各選択肢は、建物賃貸借に関する様々な法律的状況を反映しており、その適切性を判断する知識が求められます。正解は「3」で、その他の選択肢は民法及び借地借家法の規定に反する点があるため誤りです。

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