問3 権利関係
1 AがBに請負代金を支払っていなくても、Aは増築部分の所有権を取得する。
2 Bが材料を提供して増築した部分に契約不適合がある場合、Aは工事が終了した日から1年以内にその旨をBに通知しなければ、契約不適合を理由とした修補をBに対して請求することはできない。
3 Bが材料を提供して増築した部分に契約不適合があり、Bは不適合があることを知りながらそのことをAに告げずに工事を終了し、Aが工事終了日から3年後に契約不適合を知った場合、AはBに対して、消滅時効が完成するまでは契約不適合を理由とした修補を請求することができる。
4 増築した部分にAが提供した材料の性質によって契約不適合が生じ、Bが材料が不適当であることを知らずに工事を終了した場合、AはBに対して、Aが提供した材料によって生じた契約不適合を理由とした修補を請求することはできない。
問3 解答
正解 2 (難易度:C)
1.○ 正しい。民法の規定によると、請負契約において請負人が工事を完成させた時点で、その工事結果物の所有権は注文者に移転する。請負代金の支払い有無にかかわらず、Aは増築部分の所有権を取得する(民法632条)。
2.× 誤り。民法640条の2によれば、契約不適合がある場合、注文者は工事完成後から1年間にその旨を請負人に通知できるが、注文者が不適合を知った時から1年以内に通知する必要があり、単に工事終了日から1年以内とは限らない。また、請負人が不適合を知りつつ隠していた場合、注文者はその事実を知った日から1年以内に通知すれば良い。
3.○ 正しい。民法640条の2に基づき、Bが不適合を知りながら隠して工事を終了した場合、Aはその事実を知った日から1年以内にBに対して契約不適合を理由とした修補を請求することができる。また、民法167条によれば、この場合の消滅時効は10年とされているため、Aは知った日から最長で10年間は修補を請求できる。
4.○ 正しい。Aが提供した材料によって契約不適合が生じた場合、その材料の不適当性についてBが知らなかった場合、Bはその責任を負わない。この場合、不適合の原因はAにあり、Bに修補を請求することはできない(民法640条、638条)。
この問題は、民法の請負契約に関する規定、特に契約不適合に関する責任に焦点を当てています。不正解の選択肢は、法律条文の解釈が正確でない点に基づいて誤りとされています。
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