令和5年度 問2 制限行為能力者であるAは、甲マンションの一住戸を所有し、同住戸に居住している。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、最も不適切なものはどれか。

令和5年度本試験

問2 民法

1 Aが成年被後見人である場合は、Aの後見人がAを代理して当該住戸の区分所有権を売却するためには、家庭裁判所の許可を得なければならない。

2 Aが成年被後見人である場合は、Aは、あらかじめその後見人の同意を得ることにより、第三者との間で、当該住戸のリフォーム工事に係る契約を有効に締結することができる。

3 Aが被保佐人である場合は、家庭裁判所は、Aの請求により、Aのために当該住戸の区分所有権の売却についてAの保佐人に代理権を付与する旨の審判をすることができる。

4 Aが被補助人である場合は、家庭裁判所が、Aの補助人の請求により、Aが当該住戸の区分所有権を売却することについてAの補助人の同意を得なければならない旨の審判をするためには、Aの同意が必要である。

問2 解答

正解 2 (難易度:B)

1.○ 正しい。民法上、成年被後見人の重要な財産処分、特に不動産の売却は、後見人が代理して行う場合でも家庭裁判所の許可が必要です(民法第17条、第18条)。これは、被後見人の利益を保護するための措置です。

2.× 誤っている。成年被後見人が契約を締結する場合、後見人の同意は必要ですが、リフォーム工事契約のような重要な財産に関わる行為は、単なる同意を超えて家庭裁判所の許可が必要な場合があります。特に、リフォームが大規模であればあるほど、その必要性が高まります(民法第19条)。選択肢2は、単に同意を得ることで契約が有効になると誤解しています。

3.○ 正しい。被保佐人は、自身の行為について保佐人の同意を必要としますが、重要な財産の処分など、特定の行為に関しては家庭裁判所が保佐人に代理権を付与することができます(民法第17条、第28条)。このため、Aが被保佐人である場合、Aのために住戸の売却に関する代理権を保佐人に付与する審判を家庭裁判所がすることは可能です。

4.○ 正しい。被補助人の場合、補助人の同意を必要とする行為に関して、家庭裁判所が補助人の請求により、特定の行為について同意を得ることを義務付ける審判を下すことができます。ただし、このような審判を下すためには、被補助人の同意が必要です(民法第29条の2)。選択肢4は、この手続きを正確に反映しています。

不正解の選択肢2は、成年被後見人の行為能力と契約における家庭裁判所の許可の必要性に関する民法の規定を誤解しています。過去問との類似性についての情報は特にありませんでした。

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