問3 民法
次の事例に関する記述のうち、民法の規定に照らして最も不適切なものはどれか。
甲は、自己所有の土地に建てられた建物を乙に貸している。この建物に重大な欠陥が発見されたため、甲は乙に対して、建物の使用を停止するよう通知し、修繕工事を行った。工事完了後、甲は乙に対し、使用停止期間中の賃料減額を求められた。
1 甲は、建物の使用停止期間中の賃料を減額する義務がある。これは、賃貸物がその用途に供することができない期間における賃料の減額を規定している民法第634条に基づく。
2 甲は、建物の欠陥が甲の責任によるものでない限り、使用停止期間中の賃料を減額する義務はない。これは、賃貸人の責任に帰すべき原因によらない場合の賃料の減額を否定する民法第635条の解釈に基づく。
3 甲は、建物の使用停止は乙の安全を確保するために必要であったため、使用停止期間中の賃料を減額する義務はない。これは、賃貸人の責任によらない緊急の修理が必要な場合の賃料減額を否定する民法第629条の解釈に基づく。
4 甲は、建物の修繕工事のための使用停止が、甲の責任に帰すべき事由に基づくものである場合、使用停止期間中の賃料全額を免除する必要がある。これは、賃貸人の責任による不具合に対する賃料免除を定めた民法第628条に基づく。
問3 解答
正解 4 (難易度:B)
1.○ 正しい。賃貸物がその用途に供することができない期間における賃料の減額は、民法第634条により規定されている。
2.○ 正しい。賃貸人の責任に帰すべき原因によらない場合の賃料の減額は、民法第635条により否定されている。
3.○ 正しい。緊急の修理が必要な場合における賃料の減額は、民法第629条により、賃貸人の責任によらない限り否定されている。
4.× 誤っている。民法第628条は、賃貸人の責任による不具合によって賃貸物がその用途に供することができなくなった場合に、賃料の全額免除を定めているが、この条文は賃貸物の瑕疵(欠陥)により使用ができなくなった場合に限定される。本事例では、甲が安全のために修繕を行ったため、賃料の全額免除は適用されない。
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