問15 行政法
1 審査庁が不利益処分を取り消す裁決をした場合、処分庁は、当該裁決の趣旨に従い当該不利益処分を取り消さなければならない。
2 不利益処分につき、その根拠となった事実がないとしてこれを取り消す裁決を受けた処分庁は、事実を再調査した上で、同一の事実を根拠として同一の不利益処分を再び行うことができる。
3 事実上の行為についての審査請求に理由がある場合には、処分庁である審査庁は、当該事実上の行為が違法又は不当である旨を裁決で宣言し、当該事実上の行為を撤廃又は変更する。
4 審査庁は、処分庁の上級行政庁または処分庁でなくとも、審査請求に対する認容裁決によって処分を変更することができるが、審査請求人の不利益に処分を変更することは許されない。
5 審査庁が処分庁である場合、許認可の申請に対する拒否処分を取り消す裁決は、当該申請に対する許認可処分とみなされる。
問15 解答
正解 3 (難易度:C)
- × 審査庁が不利益処分を取り消す裁決をした場合、その裁決は処分庁に対して当該不利益処分を取り消すよう指示しますが、これが自動的に処分の取り消しを意味するわけではありません。処分庁は裁決の趣旨に従って新たな処理を行う必要がありますが、必ずしも同じ結果になるとは限りません。
- × 不利益処分に関する裁決があった場合、処分庁が同一の事実を根拠として同一の不利益処分を再び行うことは、一般的には「裁決の回避」と見なされ、許されない行為です。裁決によって指摘された問題点を解消した上で、新たな判断を下す必要があります。
- ○ 行政不服審査法において、事実上の行為に対する審査請求が認められる場合、審査庁(処分庁である場合も含む)はその行為が違法または不当であると裁決し、その行為の撤廃や変更を命じることができます。これは、行政行為の適法性を確保するための重要な機能です。
- × 審査庁が処分庁でない場合でも、裁決によって処分の変更を命じることができますが、審査請求人に不利益になるような変更を行うことは許されません。審査請求は本質的には不利益処分に対する救済手段であるため、審査請求人の立場をさらに悪化させるような裁決は行われません。
- × 審査庁が拒否処分を取り消す裁決を行った場合、それが自動的に許認可処分とみなされるわけではありません。裁決によって処分が取り消された場合、処分庁は新たな判断を行う必要があります。裁決は処分の適法性を審査するものであり、自動的に特定の処分を行うものではありません。
解説:この問題は、行政不服審査法における審査請求の裁決に関する理解を問うものです。選択肢3が妥当であるのは、事実上の行為に対する審査請求が認められる場合、審査庁はその行為が違法または不当であると裁決し、その行為の撤廃や変更を命じることができるためです。他の選択肢は、行政不服審査法の適用や裁決の効果に関する誤解を含んでいます。
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