問45 記述式
当該貸金債権につきBが債務不履行に陥った後、甲が火災によって焼失し、Bの保険会社Cに対する火災保険金債権が発生した。Aがこの保険金に対して優先弁済権を行使するためには、民法の規定および判例に照らし、どのような法的手段によって何をしなければならないか。40字程度で記述しなさい。
問45 解答
正解
抵当権の物上代位権によって、Bへの火災保険金支払い前に債権を差し押さえなければならない。(44字)
(難易度 B)
<論点解説>
この問題のキーポイントは、抵当権の物上代位権の行使についてです。抵当権者は、自己の抵当権の実現を図るため、抵当不動産に関する債権を第三者から取得することができます(民法第378条)。本件では、Bが火災保険金を受け取る権利(火災保険金請求権)が生じていますが、Aはこの保険金に対して物上代位権を行使し、Bに代わって保険会社Cから直接保険金を受け取ることが可能です。これを行うためには、まずAがBの火災保険金請求権を差し押さえ、その後、保険会社Cに対して支払いを求める手続きを取る必要があります。
不正解の選択肢があった場合、それが間違っている理由は以下の通りです:
・「抵当権設定登記だけで保護される」とする選択肢は誤りです。抵当権設定登記は不動産に関する権利関係を明確にするためのものであり、動産や債権(この場合は保険金請求権)に対する保護を直接提供しません。
・「単に保険会社に通知するだけで良い」とする選択肢も誤りです。通知だけでは保険金請求権の保護や優先弁済は確保されず、物上代位権による差し押さえが必要です。
参考条文:民法第378条
参考判例:なし
関連資料:なし
類似過去問:なし
コメント