問44 記述式
これに対して、当該発言は議会の品位を汚すものであり、Y市議会会議規則α条に違反するとして、Y市議会の懲罰委員会は、20日間の出席停止の懲罰を科すことが相当であるとの決定を行った。Y市議会の議員に対する懲罰は、本会議で議決することによって正式に決定されるところ、本会議の議決は、9月に招集される次の会期の冒頭で行うこととし、会期は終了した。これに対し、Xは、①問題となった当該発言は市政に関係する正当なものであり、議会の品位を汚すものではなく、会議規則には違反しない、②予定されている出席停止の懲罰は20日と期間が長く、これが科されると議員としての職責を果たすことができない、と考えている。
9月招集予定の次の会期までの間において、Xは、出席停止の懲罰を回避するための手段(仮の救済手段も含め、行政事件訴訟法に定められているものに限る。)を検討している。次の会期の議会が招集されるまで1ヵ月程度の短い期間しかないことを考慮に入れたとき、誰に対してどのような手段をとることが有効適切か、40字程度で記述しなさい。
(参照条文)
地方自治法
134条
①普通地方公共団体の議会は、この法律並びに会議規則及び委員会に関する条例に違反した議員に対し、議決により懲罰を科することができる。
②懲罰に関し必要な事項は、会議規則中にこれを定めなければならない。
135条
①懲罰は、左の通りとする。
一 公開の議場における戒告
二 公開の議場における陳謝
三 一定期間の出席停止
四 除名
②以下略
Y市議会会議規則
α条 議員は、議会の品位を重んじなければならない。
問44 解答
正解 Y市を被告として、出席停止処分の差止訴訟を提起するとともに、仮の差止めを申し立てる。(42字)
(難易度:B)
<論点解説>
Xは、議員としての職務を継続するために、まずY市を被告として、予定されている出席停止処分に対する差止訴訟を提起することが考えられます。これにより、本格的な裁判手続きを通じて懲罰処分の是非を争うことができます。また、議会が招集されるまでの短期間の間、Xが議員としての職務を継続できるように、仮の差止め(仮処分)を申し立てることが有効です。仮の差止めが認められれば、差止訴訟の結果が出るまでの間、出席停止の実施を一時的に差し止めることができます。地方自治法及び行政事件訴訟法の規定に基づいて、これらの手続きを適切に進めることが求められます。
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