問36 商法
1 商行為の代理人が本人のためにすることを示さないで商行為をした場合であっても、その行為は、本人に対してその効力を生ずる。ただし、相手方が、代理人が本人のためにすることを知らなかったときは、代理人に対して履行の請求をすることを妨げない。
2 商行為の受任者は、委任の本旨に反しない範囲内において、委任を受けていない行為をすることができる。
3 商人である隔地者の間において承諾の期間を定めないで契約の申込みを受けた者が相当の期間内に承諾の通知を発しなかったときは、その申込みは、その効力を失う。
4 商人が平常取引をする者からその営業の部類に属する契約の申込みを受けたときは、遅滞なく、契約の申込みに対する諾否の通知を発しなければならず、当該通知を発することを怠ったときは、その商人はその申込みを承諾したものとみなす。
5 商人が平常取引をする者からその営業の部類に属する契約の申込みを受けた場合において、その申込みとともに受け取った物品があるときは、その申込みを拒絶したかどうかにかかわらず、申込みを受けた商人の費用をもって、その物品を保管しなければならない。
問36 解答
正解 5 (難易度:B)
1.○ 正しい。商法において、代理人が本人のために行うことを示さないで商行為をした場合でも、その行為は本人に対して効力を生じます。ただし、相手方が代理人が本人のために行うことを知らなかった場合、相手方は代理人に対して履行を請求することができます(商法第96条)。
2.× 誤っている。商法の規定によれば、商行為の受任者は、委任の本旨に反しない範囲内で行為をすることが認められていますが、委任を受けていない行為を自由にすることはできません。受任者は委任された範囲内でのみ行動する必要があります(商法第647条)。
3.○ 正しい。隔地者間の商行為において、承諾の期間を定めずに契約の申込みを受けた者が相当の期間内に承諾の通知を発しなかった場合、その申込みは効力を失います(商法第526条)。これは、迅速な商取引を保証するための規定です。
4.○ 正しい。商人が平常取引をする者から営業に属する契約の申込みを受けた場合、速やかに諾否の通知を発しなければなりません。通知を怠った場合、申込みを承諾したものとみなされます(商法第528条)。これも商取引の迅速性を保つための規定です。
5.× 誤っている。商法において、商人が取引をする者から契約の申込みを受けた際に物品を受け取った場合、その申込みを拒絶したかどうかに関わらず、物品を保管する義務は規定されていません。商人は、不要な物品を速やかに返却するか、それが不可能な場合は相手方に通知する義務がありますが、一般的な保管義務については特に規定されていないため、この選択肢は誤っています。
不正解の選択肢2と5は、商法の具体的な条文とその解釈に誤りがある点で間違っています。商法は商取引の迅速性と安全性を保つために詳細な規定を設けており、これらの規定を正確に理解することは商行為に携わる者にとって重要です。
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