問35 民法
ア.重度の認知症により成年被後見人となった高齢者は、事理弁識能力を一時的に回復した場合であっても、後見開始の審判が取り消されない限り、遺言をすることができない。
イ.自筆証書遺言の作成に際し、カーボン紙を用いて複写の方法で作成が行われた場合であっても、自書の要件を満たし、当該遺言は有効である。
ウ.夫婦は、同一の証書によって遺言をすることはできない。
エ.遺言において受遺者として指定された者が、遺言者の死亡以前に死亡した場合には、受遺者の相続人が受遺者の地位を承継する。
オ.遺言は、遺言者が死亡して効力を生じるまでは、いつでも撤回することができるが、公正証書遺言を撤回するには公正証書遺言により、自筆証書遺言を撤回するには自筆証書遺言により行わなければならない。
1 ア・エ
2 ア・オ
3 イ・ウ
4 イ・エ
5 ウ・オ
問35 解答
正解 3 (難易度:B)
ア.不正確。成年被後見人であっても、事理弁識能力が一時的に回復した場合、遺言をすることができます。後見開始の審判が取り消されていなくても、その時点での能力が遺言能力の要件を満たしていれば、遺言は有効です。
イ.妥当。自筆証書遺言は、その全文、日付、氏名が遺言者により自書され、かつ署名もしくは記名押印されている必要があります。カーボン紙を使用して複写された遺言でも、これらの要件を満たしている場合は有効です。
ウ.妥当。民法では、夫婦が同一の証書によって遺言をすることはできません。これを「一緒遺言」と呼び、無効とされています。個々人が個別の遺言を作成する必要があります。
エ.不正確。遺言において受遺者として指定された者が遺言者の死亡以前に死亡した場合、通常はその指定は無効となります。遺言に特別の定めがない限り、受遺者の相続人がその地位を承継することはありません。
オ.不正確。遺言の撤回は、新たな遺言を作成することにより行うことができますが、公正証書遺言を撤回するには公正証書遺言によらなければならない、自筆証書遺言を撤回するには自筆証書遺言によらなければならないという規定はありません。任意の方法で撤回することが可能です。
したがって、妥当な組合せは「イ・ウ」、つまり選択肢3が正しいとなります。この選択肢は、自筆証書遺言の作成方法と一緒遺言の無効性に関する正確な理解を反映しています。
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