令和5年度問16 行政不服審査法が定める審査請求の手続に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

令和5年度本試験

問16 行政法

1 審査請求をすべき行政庁が処分庁と異なる場合、審査請求人は処分庁を経由して審査請求を行うこともできる。

2 審査請求は書面により行わなければならないが、行政不服審査法以外の法律や条例に口頭ですることができる旨の規定のある場合には、審査請求人は審査請求を口頭で行うことができる。

3 審査請求人は、裁決があるまでは、いつでも審査請求の取下げをすることができ、取下げの理由に特に制限は設けられていない。

4 審査請求を受けた審査庁は、審査請求書に形式上の不備がある場合でも審理員を指名し、審理手続を開始しなければならず、直ちに審査請求を却下することはできない。

5 審査請求人から申立てがあった場合には、審理員は原則として口頭意見陳述の機会を与えなければならず、口頭意見陳述には参加人だけでなく、審理員の許可を得て補佐人も参加することができる。

問16 解答

正解 4 (難易度:B)

1.○ 正しい。行政不服審査法では、審査請求をすべき行政庁が処分庁と異なる場合に、審査請求人が処分庁を経由して審査請求を行うことが可能です。これは、手続の利便性を高めるための規定です。

2.○ 正しい。行政不服審査法は審査請求を原則として書面により行うことを定めていますが、他の法律や条例に口頭で審査請求を行うことができる旨の規定がある場合、その規定に従って口頭で審査請求を行うことができます。

3.○ 正しい。審査請求人は、裁決があるまでいつでも審査請求の取下げをすることができます。取下げの理由に特に制限は設けられておらず、これにより審査請求人の意思が尊重されます。

4.× 誤っている。行政不服審査法によれば、審査請求書に形式上の不備がある場合、審査庁は審理を開始する前に、審査請求人に対し、その不備を是正するよう求めることができます(補正命令)。不備が是正されない場合、審査請求は却下されることがあります。従って、形式上の不備がある場合でも必ずしも審理手続を開始しなければならないわけではありません。

5.○ 正しい。審査請求人からの申立てがある場合、原則として審理員は口頭意見陳述の機会を与えなければなりません。そして、参加人だけでなく、審理員の許可を得て補佐人も口頭意見陳述に参加することができます。

不正解の選択肢4は、行政不服審査法における審査請求書の形式上の不備に対する対応を誤って解釈している点で間違っています。実際には、審査庁は不備がある場合に補正命令を出すことができ、適切な補正がなされない場合は審査請求を却下することが可能です。

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